元就×光秀(死にネタ注意)
ぽてりと道に白い蛇が落ちていた。 死んでいるのだろうかと近づいてみたら、その蛇は小さくうめいて目を開けた。腹を派手に裂かれて横たわっている。 よくこの傷で死なぬものだと感心したが、それだけだ。すぐに興味は失せた。この蛇ももうすぐ死ぬだろう。 ただ自分の領地で死なれるのは目障りだと思った程度だ。道の真ん中で横たわっているのも邪魔である。 小さく呻き続ける蛇を見ていた。 一思いに楽にしてやろうか。 止まらぬ血が道を赤く濡らしている。 頭を踏み潰してやれば楽にしてやれるだろうか。だがそれでは自分の足が汚れてしまう。 不快だ。 「我の領地を汚して死ぬとは。」 無視をしてしまうには、いささか気にとめ過ぎた。あのまま通りすぎていたのなら、そんな事もあったなと。すぐに忘れてしまっていただろう。 目の前で死にかけている白い蛇を忌々しく見ている。虫の息で苦し気に横たわる白い蛇を見ている。 無視も出来ず、かといって何かをしてやる気にもなれない。ただ忌々しいと思うのみだ。 早く死ねばいい。 そうすれば通りすぎてしまえる。死ねばただの屍だ。屍に興味をひかれる事も無いだろう。無駄に今、生きているから気になってしまうのだ。 「早く……死んでしまえ明智。そうして我の記憶から消え去ってしまえ。」 苦し気に呻く蛇が鎌首をもたげてニヤリと笑った気がしたが、言葉が終わる前に蛇は事切れた。 「なのに何故、我の部屋には冷たくなった屍があるのだろう。」