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勝家×光秀

漆黒の闇にうっすらと浮かび上がるその姿はまるで幽鬼のようだな……と思う。ゆるりとさ迷う様に夜が更けた闇に立つ姿は余りに彼の人に似合いで、勝家は窓から見えたその様を眺めていた。 彼がこんな夜更けに何処に向かい、何処から戻ってくるのか……解らぬほど鈍感でもない。 向かった先からおのが部屋に戻る道すがら、夜の庭に立つ彼の人を見つけて複雑な思いを胸に、その朧気で今にもふと消えてしまいそうな姿を見ていた。 月は無い。 それでも彼の人があそこにあるのだと解る。 黒を薄める白。 かの人の通う相手が自分であれば……と何度か妄想してはあり得ないことだと自分のつまらない妄想を鼻で笑う。 寝てしまおう。 叶わぬ妄想をする癖に自嘲して、布団の中に潜り込む。目を閉じて眠ってしまおう。もう夜に庭を眺めるのはやめよう。 そう自分に言い聞かせては毎夜庭に目をやってしまう。 白い鬼にみいられてしまったか。 叶わぬ妄想を抱いては、彼の人の姿を目で追っている。

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